拡張型心筋症とはどんな病気なのでしょうか?
生存率はどのくらいなの?
治療すれば良くなるの?
そもそも治るの?
実際に病気になるとこれらの事が気になります。
どのくらい生きられるのだろう?寿命は?
どんな治療方法があるのだろう?
ここでは拡張型心筋症の生存率や最新の治療方法についてお伝えします。
拡張型心筋症とは
拡張型心筋症は心臓が肥大して心筋が薄くなってしまう病気です
原因不明で難病に指定されている病気です。
(指定難病57 特発性拡張型心筋症)
上記リンクの難病情報センターによれば、およそ10万人に14人くらいの患者がいるようです。
心臓が全体的に肥大することで左心房も肥大します。
同時に心臓の筋肉が薄くなり、心臓のポンプ機能が弱まります。
心筋が薄くなる要因は筋肉が繊維化するためで進行性です。
繊維化の原因は明確になっていませんが近年の研究では遺伝子の異常が原因ではないかと推測されているようです。
心臓のポンプ機能が弱くなるので全身に循環すべき血液量が減り、内臓、特に腎臓などの機能が弱まり体内の水分が排出され難くなります。
このような状態は心不全です。
拡張型心筋症の検査は
- 血液検査
- 胸部レントゲン
- 心電図
- 心エコー
- 心臓MRI
- 心臓カテーテル検査
などで行います。
確定診断には心臓カテーテル検査による検査が必要になります。
心臓カテーテル検査により冠動脈疾患など他の要因が無いかを確認するためです。
更に心筋の一部を採取し筋肉組織を調べることで心筋の状態もわかります。
私は心臓MRIも行いました。
医師に説明を受けた時に見せてもらった画像はこんな感じでした。
左心室の外側の筋肉がペラペラな感じで写っていて全体の動きが鈍いと思いました。
また心室内の血液が滞留している様子なども分かりました。
素人が見てもこれはポンプ機能がおかしいと感じる程でした。
これが自分の心臓だと思うと、とてもショックでした
拡張型心筋症の生存率
Wikipediaに記載されている拡張型心筋症の生存率に関する記載はこうなってます。
診断されてからの5年生存率は54%、10年生存率は36%とされていたが、最近では治療の進歩により5年生存率は76%と向上している
いつの時点での事を言ってるのか分からないので何とも言えませんが、最初見たときは何となく愕然としましたね…
5年生存率が76%って…
5年後には4人に1人は亡くなってしまうのか?
もしかして5年生きられない?
ちょっと不安と言うか恐怖みたいなものを感じずにはいられませんでした。
この76%の信憑性は分かりませんが、私自身が感じている現在の状況はこんな感じです。
- 同じ拡張型心筋症でも個人によって状態の差が大きい
- ここ20年くらいの間に薬がとても発展している
- 10年20年とこの病気と付き合っている人が何人もいる
病気の状態は個人個人で全然違うので、治療方針や服薬がそれぞれ違うようです。
また不整脈(心房細動や心室細動など)が併発している人はICDやCRT-Dなどペースメーカーを入れてる場合が多いです。
ですが、それも症状や状態によって違ってきます。
病院に受診してると医師はもちろん看護師さんや薬局のおじさんが口を揃えて言うのが薬の開発が凄いスピードで行われていて新しい薬がどんどん出て来てると。
しかも、心臓に良く効く薬も色々と出てきたし、糖尿病治療に使われてた薬が心不全の状態を改善できたり心臓の負担を減らしたりと、心臓病に効く薬として使用されてきていること。
ここ20年くらいで薬の進歩は特に目覚ましいらしいです。
そして、TwitterなどのSNSを通じて同じ拡張型心筋症や心臓に病気のある方と繋がってみると、拡張型心筋症と宣告されて何年も生活されている方が結構いらっしゃるとこが分かりました。
これは本当に心強く感じましたね。
だって5年どころか20年以上経過してる方もいらっしゃって、自分だってまだまだ生きれるんじゃないか?って思えるようになりましたからね。
これらを踏まえて拡張型心筋症の生存率は5年で76%と言うのは現在ではアテにならない数字だと考えています。
Wikipediaを見て悲観的になってしまったとしたら、その考えはすぐに見直しても良いのでは?と提案したいと思っています。
拡張型心筋症の治療方法
拡張型心筋症の根本治療は心臓移植です。
移植によって新しい心臓になるしか治癒することはありません。
また、不整脈を伴うような症状が発生するとICDなどペースメーカーを装着する場合もあります。
内科的治療でも心臓自体の動きの低下が見られると心臓移植を視野に補助人工心臓(VAD)の装着が行われます。
近年では心筋シートによる治療やips細胞による治療なども実用、研究が進んでいますが劇的に改善、治癒できるような結果までは得られていないようです。
動画がコチラから見れます。
これら外科的な治療の前段階で行われるのが内科的療法で投薬による治療になります。
しかし投薬では病状の進行を遅らせることしか出来ません。
繊維化した心筋が治る訳ではなく、心臓に負担を掛けないようにする投薬が行われます。
拡張型心筋症の治療方法は大きく3つの要素があると思います。
- 薬物療法
- 塩分摂取コントロール
- 適度な運動
薬物療法
近年の投薬治療では以下の4つの薬が有効とされfantastic four(ファンタスティック・フォー)と呼ばれています。
現時点で最新とされる投薬の組み合わせです。
- β遮断薬
- MRA
- ARNI
- SGLT2阻害薬
これに加え
- HCNチャネル遮断薬
- 強心薬
- 抗凝固剤
- 利尿剤
などの薬を併用し心臓の負担軽減と心不全の状態の改善を行います。
薬の詳しい解説は別途掲載するので、ここでは代表的な薬の名称を記載しておきます。
β遮断薬 | カルベジロール |
MRA | スピロノラクトン |
ARNI | エンレスト |
SGLT2阻害薬 | フォシーガ |
HCNチャネル遮断薬 | コララン |
強心薬 | ピモベンダン |
抗凝固剤 | ワーファリン、エリキュース |
利尿剤 | サムスカ |
※代表的な名前だけ記載しており他の名前の薬もありますのでご注意ください。
塩分摂取コントロール
肥大化した心臓は減塩によってかなり改善されます。
心臓が肥大化する大きな要因の一つは過剰な塩分摂取です。
塩分を摂取すると血液量が増えて血圧が上昇し心臓の負担が増加します。
心臓は強く動こうとして肥大して行きますが、何らかの原因で心筋自体が薄くなってしまうのが拡張型心筋症です。
つまり過剰な塩分摂取を抑える事が出来れば、それだけでも心肥大や高血圧は改善されます。
私の経験では薬物治療も併用していましたが心胸郭比が59%だったのが3ヶ月で50%まで改善されました
1日6g以内。
減塩を徹底して継続することが拡張型心筋症を始め心臓の病気や高血圧には有効だと思います。
減塩のイメージは「薄味で美味しくない食事」みたいな感じがしますが、摂取する塩分量をコントロールすると考えると良いかもしれません。
適度な運動
適度な運動と言うとても曖昧な言い方をしてしまいましたが、具体的には
歩く
と言うことです。
これも医師、看護師、薬局のおじさん、誰しもが言います。
とにかく歩けと。
一昔前では心臓病の人は大人しく安静にしてなきゃいけないってのが主流だったようですが、心臓疾患があるからと言ってじっとして居るともっと状態が悪くなると言うのです。
もちろんこれも個人個人で症状や状態が違いますから、誰しも同じと言う訳ではありません。
必ず主治医に確認してくださいね。
歩くことで第二の心臓と言われるふくらはぎの筋肉を動かすことになります。
ふくらはぎが循環の役割を担うことで心臓の負担を軽減することが出来ます。
では、どのくらい歩いたらいいのか。
具体的な数字は?何キロ?何分?
私もこれは分かりませんでした。
誰も明確には答えてくれなかったからです。
でもある看護師さんが教えてくれました。
キツいなと思ったら休めばいいので毎日少しでもいいから歩くのが大事
心臓の状態はそれぞれ違うので一概に何分歩くとか何キロ歩くとかは言えるはずがありません。
歩いてみてキツいと感じたら休む。
休憩して回復したらまた歩く。
もしくはキツいと感じたところで一度中断してもいいですよね。
また次の日同じ位でキツく感じるかもしれません。
継続してるとキツく感じるのが段々遅くなるでしょう。
筋トレとは違うので毎日継続することが重要です。
とは言っても雨の日など天候が悪い時などは無理しなくてもいいでしょう。
周回コースなど決まった場所を歩くと距離やペースがわかりやすい
雨の日などはショッピングモール内を歩くのも良い
なるべく人通りの多い道を選ぶ(何かあった時発見してもらいやすい)
どのくらい歩いたら疲れが出たかなど記録しておくと変化がわかり、医師に伝えることでどの程度改善できてるかの目安にもなります。
AppleWatchなどのスマートウォッチと連携するスマホアプリなどを利用すると簡単に記録出来るし変化もグラフなどで見れるので有効です。
規則正しい生活と血圧・体重の管理
投薬治療が中心で減塩や運動によって心不全の状態は悪化を防ぎQOLを改善することができます。
その状態を客観的に監視出来るように
- 血圧
- 脈拍
- 体重
の3つの項目を毎日記録するようにしましょう。
血圧計は特に高価な特別な物を準備する必要はありません。
家電量販店などで購入できる物で問題ありません。
体重計は0.1kg単位で計測出来る物が望ましいです。
もし0.1kg単位で測定できる物が無ければ購入を検討してみてください。
そんなに高価では無いと思います。
私も購入しました。
薬をキチンと飲むためにも朝食、昼食、夕食をしっかりと出来れば毎日同じくらいの時間に採れるようにしましょう。
睡眠時間も確保し規則正しいリズムで生活することが大切です
まとめ
- 拡張型心筋症の生存率はネットに書いてあるほど低くはないと思う
- 最新治療はfantastic fourによる投薬治療が有効な場合がある
- 投薬以外も減塩と運動が大事
- 血圧・脈拍・体重の記録管理
日本循環器協会では心臓を元気にする活動として「心活」を提言しています。
拡張型心筋症によって引き起こされる心不全を正しく理解し、心活を進めることで予後が改善され心不全寿命を延ばせるはずです。
一緒に頑張りましょう^^
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