拡張型心筋症の治療では代表的なファンタスティック・フォーが主流になっていますが、加えて
利尿薬も併用される場合が多いようです。
実際私も利尿薬を服用しています。
さて、なんで利尿薬が必要なんでしょうか?
利尿薬はどのような作用をし拡張型心筋症(心不全)に有効なのでしょうか。
以下で少し解説しようと思います。
※体調不良や体の異変を感じている場合はすぐに医療機関を受診してください。
拡張型心筋症とは
拡張型心筋症は心臓の筋肉である心筋が異常な拡大を起こし心機能が低下する病気です。
心臓の拡大によって心臓の収縮力が低下し血液を効率よく送り出すことが困難になります。
拡張型心筋症は遺伝的要因や環境要因によって引き起こされることがあります。
一部の患者は症状を経験せずに生活できる場合もありますが、他の患者は
疲労、息切れ、胸痛、不整脈
などの症状を経験することがあります。(心不全症状です)
治療法が確立されてないため指定難病になっています。
根本的治療は心臓移植しかありません。
拡張型心筋症の投薬治療
拡張型心筋症の治療には様々な薬物療法が用いられます。
これらの薬物は心臓の症状の管理や進行の遅延を目的として使用されます。
投薬治療の目標は心機能の改善や症状の緩和、生活の質(QOL)の向上です。
その中でも利尿薬は拡張型心筋症の治療において重要な役割を果たします。
以下に拡張型心筋症の投薬治療で一般的に使用される薬物の一部を記載します。
ベータブロッカー
ベータブロッカーは心臓の働きを抑制し心拍数を減少させる作用があります。
これにより心臓の負荷を軽減し心臓の拡大や進行を遅らせる効果が期待されます。
またベータブロッカーは不整脈の制御にも役立ちます。
ACE阻害剤/ARB
ACE阻害剤(血管収縮酵素阻害剤)やARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)は血管を拡張させる作用があります。
これにより心臓への負荷を軽減し血圧の管理や心機能の改善に寄与します。
またこれらの薬物は心筋の線維化(組織の硬化)を抑制する効果もあります。
近年ではファンタスティック・フォーとしてARNI(エンレスト)が採用されるケースが多いようです。
利尿薬
利尿薬は体内の余分な水分と塩分を排出する効果があります。
拡張型心筋症では心臓の機能低下によって体内に余分な水分がたまりやすくなります。
利尿薬はこの余分な水分を排出することによって体内の血液量を減らし心臓への負担を軽減します。
抗凝固薬
拡張型心筋症において血液の凝固が亢進する場合があります。
このような状態では血栓が形成されるリスクが高まり血管の詰まりや心筋梗塞などの合併症が生じる可能性があります。
抗凝固薬は血液の凝固を抑制し血液の流れを改善する効果があります。
拡張型心筋症における利尿薬の役割
拡張型心筋症では心臓の機能低下によって血液が体にうまく循環せず、体内に余分な水分がたまりやすくなります。
利尿薬は尿の量を増やすことによって体内の余分な水分や塩分を排出する効果があります。
利尿薬はこの余分な水分を排出することによって体内の血液量を減らし心臓への負担を軽減します。
また利尿薬には血圧を下げる効果もあり心臓の負担を軽減する効果が期待されます。
拡張型心筋症は心臓の筋肉である心筋が拡大し機能が低下する疾患です。
この状態では心臓の収縮能力が低下し、血液を効果的に体内に送り出すことが困難になります。
結果として体内に余分な水分と塩分が溜まりやすくなり体液量の増加が起こります。
利尿薬はその名前の通り利尿(尿の排出)を促進する作用を持ちます。
これにより体内の余分な水分と塩分を排出することができます。
拡張型心筋症において利尿薬が使用される理由は以下の通りです。
体内の水分負荷の軽減
心臓の機能低下により血液を効果的に体内に送り出すことが困難になります。
この結果体内の血液量が増加し心臓への負担が増加します。
利尿薬は体内に溜まった余分な水分を尿として排出することにより、体液量を減らし心臓への負荷を軽減します。
塩分の排出
拡張型心筋症では塩分も体内に溜まりやすくなります。
塩分の過剰摂取は体液量の増加につながり心臓への負担を増加させます。
利尿薬は塩分の排出を促進することで体内の塩分の負荷を減らし心臓の負担を軽減します。
利尿薬の種類と効き方の違い
利尿薬にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる効き方や特徴があります。
ループ利尿薬
ループ利尿薬は腎臓のループ部でナトリウムと水分の再吸収を阻害する作用を持っています。
これにより体内の余分な水分を排出し尿の量を増やします。
ループ利尿薬は比較的強力な利尿作用を持ち、急性の水分負荷やむくみの症状を迅速に改善する効果があります。
代表的なもの:フロセミド、トーセミドなど
サイアザイド系利尿薬
サイアザイド系利尿薬は腎臓の尿細管でナトリウムと水分の再吸収を抑制する作用を持ちます。
この薬は比較的弱い利尿作用を持ち、慢性的な体液負荷の軽減や高血圧の管理に適しています。
代表的なもの:ヒドロクロロチアジド、クロルタリドンなど
カリウム保持性利尿薬
カリウム保持性利尿薬はナトリウムの再吸収を抑制する一方で、カリウムの排出を防ぐ作用を持ちます。
これにより利尿効果と共にカリウムの保持が行われます。
カリウム保持性利尿薬は利尿作用を必要としながらもカリウムのバランスを維持する必要がある場合に適しています。
代表的なもの:スピロノラクトン、アミロライドなど
非選択的バソプレッシン受容体拮抗薬
非選択的バソプレッシン受容体拮抗薬はバソプレッシンの作用をブロックし、利尿作用を発揮します。
バソプレッシンの作用をブロックし、利尿作用を発揮します。
主に水の過剰貯留による浮腫や低ナトリウム血症の症状を改善するために使用されます。
(水のみを排出する効果があります)
ただし上記三種類とは異なる特殊な利尿薬であり、一般的な拡張型心筋症(心不全)の治療には他の利尿薬が選択される場合もあると考えられます。
使用方法や投与量については医師の指示に従いましょう。
代表的なもの:トルバプタン(サムスカ)
私はスピロノラクトンとトルバプタン(サムスカ)を服用してます。
利尿薬の選択は患者の症状や状態、他の投薬や合併症などに基づいて行われます。
医師が患者の具体的な状態を評価し最適な利尿薬の選択と投与量を決定します。
従って同じ拡張型心筋症の患者でも処方される利尿薬は同じとは限りません。
まとめ
拡張型心筋症は心臓の筋肉である心筋の異常な拡大と機能の低下を特徴とする疾患であり、利尿薬はその治療に重要な役割を果たします。
利尿薬にはループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、カリウム保持性利尿薬などの種類があります。
それぞれ異なる作用機序や利尿効果を持ち適切な利尿作用を達成するためには、患者の状態や他の薬物との相互作用などを考慮して選択されます。
利尿薬の目的は体内の余分な水分や塩分の排出によって心臓への負担を減らし心機能の改善や症状の緩和を図ることです。
しかし利尿薬の使用には注意が必要であり適切な投与量と定期的なモニタリングが重要です。
医師の指導のもとで利尿薬を適切に使用することで拡張型心筋症の管理と生活の質の向上に寄与することが期待されます。
最終的な治療方針は個々の患者に合わせて決定されるべきであり医師との相談をおすすめします。
※体調不良や体の異変を感じている場合はすぐに医療機関を受診してください。
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